当時、この赤山商事では
新入社員の教育カリキュラムとして
入社してから独り立ちするまでの2年間の内で、
限られた期間のみ他の課へ出向できるという独自のシステムがあった
当初は自由に出向先を選べるわけでは無かったが
この頃には随分自由がきくようになり
本人の希望に沿った課へ出れるようになっていた
その人事に関しては、全権が局長であるひらGの掌中にあった
ただ1人、ナニワマンだけが局長に出向先の希望を出すのが遅れていた
事の始まりは
ただ、それだけであったのだ・・・
元来、清掃課といふものは赤山商事内でも特に立場が弱かった
対して給食課は社内でも1、2を争う激務を必要とする部署であった
てんで清掃課は給食課に頭が上がるものではない
”人数・戦力が足りなくなったので3ヶ月程人員を貸してほしい”
といった理不尽極まりない要求に対しても抵抗なく若手を送り出す程に従順だった
御人好しもここまでくれば立派なものである
奴隷とされた者にとってみればたまったものではないが・・・
思い返してみると、
筆者の職場不信はここから既に始まっていたのかもしれない
清掃課のような軟弱な職場を選ぶ若者たちに給食課への出向の意思など微塵も無いことなどは火を見るより明らかであった
外部への体裁を気にするひらGとしては焦りもあったのであろうか?
何をキチがったのか?
まだ出向先が決定していないナニワマンを強制的に給食課へ送り出す予定をとってしまったのだ
これには流石にナニワマンもキレた
今、ひらGはどこにいる?
宿直室内で1人で休息中だ
この、クソ忙しい中でか?
いつものことだ かわったことでもあるまい
いいや、今回ばかりは解せないものがある!!
「あまりにもひどい。私も一緒に行く。」
と、
事の真相を知ったたまきん乃富士の同行を得て二人で宿直室へ向かう
中に入ってみると、なるほど部屋の中央に陣取ったひらGが優雅にショートホープを喫煙中だった
ナニワマンと玉金乃富士は思いの丈をひらGにぶつけてみたのだが・・・
「うるせえ!! 俺が決定したことだ。文句を言うな!!」
と、ひらGは二人を一喝するのみだった
おお、理不尽大将!!
ここまでストレートだとかえって反論もできない
てんでお話にも事の解決にもならない
ナニワマンは壁やドアを殴り蹴りながら
たまきん乃富士は泣きながら部屋を退出していった
敵を返り討ちにしたひらGは意気揚々とまた宿直室内でくつろぎはじめる
その後の自分の運命を知ることもなく・・・
ちょうど外は夕闇が霞みはじめ、月がその輪郭をあらわにしようとしていた










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