清掃課に新人が入ってくることはなかった
春先より暗雲ただよう課内・・・。
そんな折、中堅選手のしみぴょんが突然出社しなくなった
2週間ほど連絡が途絶えているらしい
その間、担当顧客もほったらかしの状態である
局長ひらGは黙したまま何も語らない
しみぴょんの退職が決定するのにそう時間はかからなかった
理由は女性関係らしい、というのがもっぱらの噂だった
真偽の程は定かではないが、もとぴーと課内のお局OLを奪い合った末での行動だったようだ
「ショックよねぇ。私、しみぴょんのファンだったのよ。」
「お前、俺を前にして そんな事言うかぁ??」
社内のカフェテラスでの野村と、課内OLのこんな会話をとくろうさんは耳にしてしまった
この若い2人の関係も、きっとそう長くは続かないことだろう
器用に異性との関係を保てられているのはようすけ兄さんとけんやぐらいのもので、とくろうさんはそれを尻目にうらやましがるのみだった
もっとも、長い期間の交際相手がいるグッチーちゃん。やわらわら、ほかほかゴッド姉さんは大人なもので、そんな彼らを達観しながら笑っていたものだ
コジコジは衝動をこらえ、グッと我慢をしていた
「そんなことより、納涼会の会場どうするの?」
「任せとけって、けんやさんの発案でいいとこあるから。」
清掃課では大きな宴会が年に2回ほどある
7月の納涼会と12月の忘年会がそれだ
けんやと野村はその年の幹事だった 幹事は大抵汚れ役
コジコジはケンケンの被り物、グッチーちゃん。はカッパの被り物を演じたものだ
はたして、会場はサンシャイン国際水族館だった

魚たちを眺めながらの酒は、なるほど幻想的なものだ
「吉男、なかなかイケてるわよ。」
「ははん、手ごたえありだなぁ。」
ロマンチックな雰囲気のもと周囲の視線をかいくぐりながら野村は、そっと彼女の肩に手を伸ばそうとした、その刹那だった
息を切らしながら水族館の関係者が肉薄してくるではないか
「あなたが幹事の方ですか!? もう、どうにかしてください!!」
現場に駆けつけてみると、
酩酊状態のハマちゃん、ようすけ兄さん、グッチーちゃん。を筆頭とした酔っ払い集団がいけすに手をつっこんで魚や蟹をつかもうとしているではないか!! これまた酔っ払い中堅OLたちもこれに続く
やはり、コジコジは参加したいのを我慢して平静を装っていた
けんやは酔いつぶれているらしかった
「皆さん、お願いですからやめてください!!」
野村の悲痛な叫びも虚しく、無論彼らは暴走を止めない。
火に油を注ぐようなものだ
「手裏剣ーっ!!」
たれが投げたか? ヒトデが回転しながら宙を舞っていた
「あっUFOだぁ。やおいさん呼ばないと。」
事の重大さを全く把握していない野村の発言に、関係者の怒りは頂点に達してしまったようだ
その2日後会計目的で水族館に出向いた野村に向けられた通達は
”今後の赤山商事の当館使用禁止”であった
「こんな会社、辞めてやる・・・。」
この頃から野村は潔い去り方、辞め方について模索していくこととなる










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